パキスタン絨毯について

インド・パキスタンの地で手織絨毯が作られるようになったのは、今から約450年前のイスラム教国家のムガール帝国時代
( 1520~1858 ) にさかのぼります。アクバル大帝
( 1556~1605 ) がサファビー朝イスファハンよりショクショウ織匠を招きラホールの宮廷内に工場を建て絨毯を織らせたのが始まりとされおります。その製法は、ペルシアの影響を受けると共に、次第に独自のスタイルを作りだすようになりました。17世紀にはラダックやチベットの山奥にいるシルクのような肌ざわりの山羊の毛を用いるという、豊富で良質な素材にも恵まれ、ついには他に類のない卓越した技術の頂点に達しました。 その確立されたムガールスタイルは、現在周辺諸国のイラン・トルコなどで作られているカーペットにも多大な影響をあたえ、引き継がれています。
結びは、ペルシア結びでセーナ(Sehna)結びとも呼ばれている。(一部の地方では、トルコ結び(ギョルデース結び(Ghiordes)もある。)ダブルノットとシングルノットがあり、パイル糸には、ニュージーランドの輸入糸と現地の羊毛(ローカルウール)が使用されている。
パキスタン絨毯の出来上がるまで
原料
- ◇輸入糸 ⇒ そもうし梳毛糸(ウーステットヤーン)はローカルウールと比べると艶があり、軟らかく感触が良い。
- ◇ローカルウール ⇒ 輸入糸と比べると、やや艶がなく硬く弾力がある。
- ◇絹(シルク) ⇒ パキスタンにシルクはなく、中国から輸入したシルクを部分的に使用した絨毯があるが、同品質のウールに比べると割高である。
- ◇人造シルク(レイヨン) ⇒ 白色のレイヨンが使われることが多いが、色柄を生かすため柄と柄の間に若干使用しているものが多い。

染色
クローム系の染料を使用し、糸にした状態で染色する。専門の染色師によっておこなわれる。

デザイン
方眼紙に記入された図案を見ながら、ターラムに織る順序を記入しているところ。 織り手はこのターラムを見ながら順番に織り上げていく。

織り工程
ルーム(織機)に経糸が張られ、それに一結び一結びずつパイルを結びつけていく。 オリエントの絨毯は通常方眼紙に記入された図案を見ながら織り上げるが、インド・パキスタン絨毯はデザインを織る順序・色をターラムと呼ばれる表に写し、これをリーダーが読み上げ、数人がこの指示に従って織り上げる方法がとられている。

洗い
各家族・村ではルーム(織機)で織られた絨毯は仕上げ工程工場(洗い・シャーリング・補修)に運ばれる。
絨毯はまず裏側をバーナーで焼かれ、(裏に出たパイルの毛羽を取るため)輸送中に付いた傷物、織り傷等の商品を分類され傷物はこの段階で分類される。
続いて全体の汚れ等を水とブラシで洗い落とし、ケミカルウォッシュ(水で薄めた希硫酸を掛けながら水槽でブラッシング)する。
その後、同じ水槽で鉄ヘラ・木ヘラを使用して水洗いをします。これを何回も繰り返します。

乾燥
最終、固形石鹸で、薬品を充分洗い落とし、水洗いが終わったものを、天日乾燥をします。
左は、シャンプー洗い
右は自然乾燥

シャーリング
乾いた絨緞は鉄パイプの上に置いて、大きなハサミ(クリッパー)でパイルを揃える。
(パイプの太さで毛足の長さを調節する。太いと長く、細いと短くなり、シングルの高級品、ダブルは細いパイプを使う。)

仕上げ
シャーリングを終えた絨毯は再度検討され完成品となる。
オリエントの手織絨毯の価値判断は一般的には、ノット(結び目の数)が多ければ多いほど高品質とされていますが、それぞれの産地(絨毯)としての個性がありますから、ノットだけで絨毯の価値を判断することは避けるようにしたいものです。またデザインの良し悪しは、購入される方の好みの問題となってきます。自分の好みを押しつけることのないようにしましょう。
天然素材でつくられる手織絨毯はデザインにあわせた、素材を使用するのも重要な要素の一つです。素材・糸の太さ等での価値判断も避けたいものです。